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中村天風と遭遇した時、
あなたは、どんな態度に出るか。
拒否か、それとも信服か、私はそこに関心を持つ。
「まえがきにかえて」で、
この本は、このように紹介されています。
さらに、著者の中村天風さんは、
日露戦争に諜報員として満州の野で死線をかいくぐり、
奔馬性結核で死に魅入られました。
東西の哲学者、宗教家を訪ねても得られなかった、人生の意味。
失意の果てに旅先で偶然に会ったヒマラヤのヨガの聖者に導かれ、
遂に得た「積極的人生」の教え。
幾多の人々を生き生きと活かした教えを「天風会」で説いて、
稲盛和夫さんや広岡達朗さんなど、
ジャンルを問わず、大きな影響力を与えるに至ります。
その教えがコンパクトにまとめられたのが、
この『運命を拓く』です。
確かに、このような破天荒な人生を歩んだ人からは
何も学べることはないと尻込んでしまうかもしれません。
しかし、結核で苦しんでいたときの心境を
振り返る場面がいくつかあるのですが、
その心のうちは、私たちに共通するところがありますし、
だからこそ、「積極的人生」の教えにも説得力があるのだと思います。
また、なにぶん明治の時代の人ですから、
独特の古めかしい文体が読みづらさを増していますが、
ゆっくりかみしめるように読めば理解できるようにはなっています。
違う角度から見ると、
ほめ本の第32回でご紹介した『お金持ちになる科学』にも
共通するところが多いとも思います。
この本の中では、
すべてのものを生み出す「本質的存在」があるとされていて、
それは宇宙全体にしみわたっている創造の源泉のようなものでした。
『運命を拓く』においては、さらに踏み込んで、
何度も「宇宙霊」という言葉が出てきて、
「本質的存在」と同様に、私たちに創造力や生きる力を与えてくれる
力の源泉のような存在です。
ここまで来ると、ほとんど宗教のようですし、
目に見えないものを見ようとする難しさがあるので、
「まえがきにかえて」で言われているように、
拒絶か信服かで分かれてしまうのも無理もありません。
しかし、人間は「言葉」という目に見えない道具で、
ものを考えてしまう動物である以上、
目に見えないものの創造主である「宇宙霊」のような存在を想定し、
その働きに身をゆだねてみるのも、一つの生きる方法かもしれません。
結核を自らの力で治そうと医学を究め、
哲学や宗教を学んだ末に遂に至った「積極的人生」の教え。
頭から否定するのではなくて、
まずは、この考え方に耳を傾けてみるのもいいのではないかと思います。
自己啓発の本を紐解くと、最終的には、
言葉を通して目に見えない世界を切り開いた創造主のような存在にまで
踏み込んでしまうことが多いです。
中村天風さんは学問もきちんと身につけている方ですし、
人生経験の裏打ちもあるので、良い考えを説いていると私は思いますが、
中には、聴講者から搾取するような悪い考えを持った人が、
自己啓発セミナーをやる人の中にはいると聞き及んでいます。
変な言い方ですが、
良い人か悪い人かを見極める見識眼を養う上でも、
この本を読む価値があると思います。
そんなわけで、いろいろな収穫が得られることは間違いないと思いますので、
その点を念頭にお読みになってください。
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