ハッピー☆ウーマンへの道

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vol.21 「生きがい」と「やりがい」を持つ女性(角田光代さん)

「生きがいってあやふやなもの。
自分だけの何かがないといけないんじゃないかって
悩むのは、まやかしに引っかかってるんじゃないかな」


そう語るのは、違和感や不安を抱えながら生きる若者を
描かせたら天下一品の直木賞作家・角田光代さん。

「生きがい」と似た言葉に、「やりがい」というのがあります。

角田さんは、

「仕事にやりがいはあるけれど、生きがいはない」

とはっきり断言します。


含蓄のある言葉ですよね。

どんなに好きなこと、夢見てきたことだって、
それが「仕事」となった途端、
煩わしいことや、面白くないことだって
出てきてしまうのが現実。

でも、そういうマイナス面も自分への「課題」ととらえ、
乗り越えて、目標を達成してくことで「やりがい」を
感じることができるのです。

じゃあ、「生きがい」って、何なのでしょう?

辞書を引いてみると、そこには、

「生きていることで感じるはりあい。生きている価値」

とありました。
う~ん、漠然としていますね。

角田さんによると、「生きがい」は、「やりがい」とは違って、
とてもささやかなことに感じるそうです。

たとえば、夜おいしい秋刀魚を食べることとか。
体重が1キロ減ることとか。

日常の営みの中、ふと訪れる「幸せな瞬間」。
確かに、それこそが、明日への活力になり、

「いま、私は生きているんだ!」

という実感にもつながるような気がします。

「生きがい」と「やりがい」について、
こうした深い考察ができるのは、角田さんがそれらを求めて
もがいた日々があるから。

角田さんは、大学の文芸科を卒業後、
デビューを目指して小説を書きながら、派遣社員として勤めていました。

お茶汲みや封入という単純作業にもかかわらず、
意外にもそれが得意で、和気あいあいとした雰囲気も
楽しかったと言います。

でも、その生活には1年で終止符を打ちました。

「楽しすぎて、このままだとずっと派遣社員を
続けてしまいそうだったから」

というのがその理由。

小説に没頭し、まもなく文芸誌の新人賞でデビュー。
自ら逃げ場を放棄したことで、
「書くこと」を「やりがい」に育てていったのです。

デビュー後、次々に作品を発表していった角田さんですが、
道は平坦ではありませんでした。

若手作家は注目され、持ち上げられることもあれば、
槍玉にも挙げられます。
そうした批評を真正面から受け止め、悩み、
まったく書くことをやめてしまった時期があったそうです。

でも、そんな「書かない生活」は3カ月でピリオド。
ある種のあきらめと覚悟が座ったと言います。

「人間、何もしないで生活する限界って3カ月」

どんなに笑われても、好きなんだから、仕方がない。
そうして、再び筆を取った作品で二度目の文学賞を受賞し、
作家としての新たなステージを踏み出したのです。

仕事に求めるものは、「死ぬまで書き続ける作家でいること」。
それは、どんなときも揺るがない想い。

しっかり芯の通った「やりがい」と、
その瞬間瞬間を輝かせる「生きがい」と。

その両方をきちんと区別し、
その両方を享受している角田さんは、
自分の人生を充実させる達人とも言えるでしょう。

「やりがい」は時間をかけて育てるもの。
ならば、まずは今日の「生きがい」を探してみませんか?

*********

★参考文献
日経ウーマン 2005年11月号



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